かつて学校と企業との関係においては学校が学生・生徒に基礎的な知識を身につけさせれば、企業側が職業に必要な専門的知識・技能について企業内の教育・訓練で育成する、という役割分担があった。従業員確保が優先されたこともあり、「大学から社会・職業への移行をめぐる問題」はこれほど騒がれることはなかった。しかし、グローバル競争の激化などにより、企業が人材育成を行う余裕を失ってきたことによって問題が顕在化してきたのである。
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仮に景気がよくなり、求人状況が改善しても「学力不足や就職準備が不十分な学生」は企業の厳選採用の高い壁を乗り越えることは難しい。大手企業はグローバルな競争環境の中で勝ち抜こうと正社員採用を抑制し、よい人材獲得のため、一握りの有力大学の学生に絞る「ターゲット採用」の動きを強めている。膨れすぎた母集団を縮小し、採用活動を効率化するためである。企業は本当に欲しい人材だけを採ろうとしているから、自社の採用基準に満たなければ予定数に達しなくても早期に採用活動を打ち切る企業が目立って増えている。中位校、下位校に属する大半の学生はそうした大手企業、人気企業に就職を希望しても、就職ナビで応募はできるものの、初めから採用対象になり得ていない現実もある。大手企業と圧倒的多数の学生の間には厳然とした「見えない壁」ができているのだ。