もし派遣労働が規制されていたら?

2011.12.02

厚労省の役人の多くは未だに正社員・終身雇用が最も安定した働き方だと考えている。それにもかかわらず、この20年間くらい、労働者派遣法の改正を重ねて非正社員化を促してきた。その一方で、非正社員化に合わせたセーフティーネットは構築してこなかった。実際、派遣労働の問題が顕在化するにつれて、表立った発言をほとんどしない厚労省の役人自身が、驚くべきことに「派遣労働は間違いだった」というような発言をしている。広島労働局の落合淳一局長が、製造業にも派遣を解禁した2004年の労働者派遣法改正について「申し訳なかった」「私はもともと問題がある制度だと思っていた。

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しかし、市場原理主義が前面に出ていたあの時期に、労働行政の誰かが職を辞してでも止められなかったことを謝りたいと思っている」と述べたと言われる。結局、産業構造の高度化とセーフティーネットの構築に失敗したために、減少している貴重な労働力を先端産業に振り向けることもできないし、派遣切りで住所を失った失業者を大量に生み出しているということになる。歴史に、もしも(イフ)を持ち込むことを許されるとして、少し想像してみよう。この20年、労働分野の規制緩和を過度に進めることなく、正社員中心の制度を守っていたとしたら、どうなっていただろうか。派遣労働が規制されていれば、製造業は海外に逃避し、失業率は高止まりだったかもしれない。しかしながら、製造業が海外に逃避することで、政府も含めて日本人・日本社会全体に新産業の必要性が強く認識されるようになり、新たな産業が出来上がって産業構造の大転換が起こったかもしれない。また、失業率は高止まりしていたかもしれないが、積極的に職業訓練をしていれば、高度な技術を持つ労働者をたくさん生み出すことができたかもしれない。政府が信念を持って、少しの負担と我慢で人材に投資していれば、今の日本とは異なった社会になっていた可能性もあるだろう。





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